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心房細動とは?

心房細動の原因は何でしょう?
心房細動の正確な機序は未だに分かっていません。現在、(図1)に示したように、肺静脈からの異常な興奮()や、右心房・左心房における大きく旋回する興奮(矢印)が原因と考えられています。

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ストップ!ザ・心房細動

心房細動はただちに生命の危機となるような不整脈ではありませんが、心不全や重症脳梗塞の原因ともなる不整脈です。日本医科大学は心房細動手術における世界でのトップリーダーの役目を果たしてきました。今後も積極的に多くの患者さんの心房細動を正常な調律に復帰させることを目指して、治療に取り組んでまいります。
心房細動手術の目的は何でしょう?
心房細動手術の目的には3つあります。

  • 1 不整な脈を規則正しくする
  • 2 心機能を改善する
  • 3 脳梗塞など血栓症を予防する

メイズ手術はこの目的すべてを達成するために開発された手術であり、それまで治らなかった心房細動が治るようになったのです。

心房細動手術のコンセプト

  • 1
    肺静脈を電気的に隔離することで、肺静脈からの異常興奮を遮断して、心房全体に異常な興奮が広がることを防ぐ。
  • 2
    心房を切開することで心房を大きく旋回する興奮を遮断する。
  • 3
    左心耳を切除することで、左心耳内に血栓ができないように予防する。

心房細動手術は3つのコンセプト(図2)心房細動手術は3つのコンセプト(図2)から成り立っています。
この3つのコンセプトを一つにまとめた手術がメイズ手術です。
メイズ手術により、心房細動の原因である異常な興奮が遮断され、正常な脈(洞調律)となります。
どのような患者さんが手術適応となるのでしょう ?
欧米においてメイズ手術が行われた最初の頃の手術適応は、心房細動以外に器質的な心疾患を伴わない孤立性心房細動であったことから、心房細動だけの患者さんに多く行われてきました。現在も欧米では孤立性心房細動の症例に対しても外科治療が行われています。日本においては、日本循環器学会のガイドライン(2011年改訂版)によると僧帽弁疾患に合併した心房細動で、弁形成術または人工弁置換術を行う場合や、他に心房中隔欠損症、冠動脈病変や大動脈弁病変など器質的心疾患を伴った心房細動が心房細動手術の良い適応とされています。左房内に血栓のある患者さんや、カテーテルアブレーションの不成功例や再発にて度重なるカテーテルアブレーションが必要な患者さんも外科手術の適応となります。
孤立性心房細動の症例においては薬剤抵抗性の不整脈のために、動悸などの自覚症状が強く、生活の質 (Quality of life)の著しい低下が認められる患者さんや、薬物療法が無効な発作性心房細動で、除細動などの救急治療を繰り返している患者さんも手術適応です。

メイズ手術について

日本医科大学では1994年から現在まで20年にわたって心房細動に対する手術を施行してきました。総手術例数は500症例を超えています(2014年現在)。洞調律復帰率は約90%と海外の一流施設と同等、あるいはそれ以上の成績を誇ります。
我々は30年以上に渡り、メイズ手術を考案した米国ワシントン大学のCox先生やその後継のDamiano先生の元に留学生を派遣して、指導を受けるだけでなく、様々な研究を行って不整脈外科の向上に貢献してきました。日本だけでなく、海外でも不整脈外科を牽引する存在であると自負しております。
弁膜症を伴った心房細動では弁形成術、生体弁置換術とともに心房細動手術を施行することで、積極的に術後ワーファリンフリーを目指しています。
また、弁膜症などの器質的心疾患を伴わない孤立性心房細動の場合でも、脳梗塞など血栓塞栓症の既往や心房内血栓がある患者さんに対しては心房細動手術を行っております。
以前のメイズ手術は心房をハサミで切開して再縫合する手術であり、弁輪部には凍結凝固を用いてアブレーションを行っていました。この手術は90%以上の心房細動を洞調律に復帰させることができる治療成績の良好な術式でしたが、心房の切開線が複雑な上に出血の危険性が高く、手術時間が長いという欠点がありました(図3)。

心房の切開線(図3)

近年では、外科用アブレーションデバイス(図4)を用いることにより、出血の危険性が少なくなり、手術時間が短縮されたことで手術侵襲の軽減が得られています(図5)。
我々は患者さんの病状に応じた術式の選択を心がけています。外科手術のメリットとデメリット、カテーテルアブレーションのメリットとデメリットを率直に説明し、その上で最善の術式を選択していますので、いつでも外来にお越しください。

外科用アブレーションデバイス(図4)
手術時間の短縮(図5)

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